介護職の基本姿勢
1人の人間として尊重することが大切
介護職と要介護者は対等な関係
介護施設などを利用している要介護者は介護職からの支援を受けながら日常生活を送っています。一方、職員は介護を職業として自分の生活の糧にしています。お互いに対等なのが本来の関係ですが、「支援する」という性質上、職員と要介護者の間に上下関係が生じる場合もあります。介護施設などで起こる虐待はほとんどこの上下関係が原因です。
介護を受けたいと思って受けている人はいません。自力でやりたくてもできないから頼らざるを得ないのですが、そういった要介護者の気持ちに寄り添った介護をしなければ対等な関係を築くことはできないでしょう。
高齢者ケアの3原則
要介護者の気持ちに寄り添って介護することが大切ですが、具体的にどのような部分に気をつければいいのでしょうか。介護が必要な人は心に不安を抱え、遠慮がちになっています。まずはそういった気持ちを理解し、温かい心で接するように心がけましょう。相手を思いやる気持ちは言葉や表情、動作として表れるので、相手が不快に感じないように対応していきましょう。親しみをこめた気さくな態度の方が安心する人もいれば、礼儀正しさや敬意を持った話し方を好む人もいます。臨機応変に相手の自立性を尊重して接していきましょう。そのために押さえておきたい3つのポイント「人生継続性の尊重」「残存能力の維持・活用」「自己決定の尊重」について、詳しく解説します。
「人生継続性の尊重」はこれまでのライフスタイルを変えず普段通りの暮らしが続けられるように支援することです。
「残存能力の維持・活用」は過剰な支援を避けて補助用具や住環境を能力に応じて整え、残された能力をできるだけ引き出すことです。
「自己決定の尊重」は、高齢であっても介護が必要な状態でも人生のあり方は高齢者本人が決め、周囲はその意見を尊重することです。
これらの3つのポイントを実現するには、要介護者の心と身体の変化をよく理解し、思いやりと愛情を持って誠実に対応することが大切です。また、高齢者の話をよく聞いて観察するなどコミュニケーションを取ったり、要介護者のペースに合わせて行動することも必要です。1人の人間として尊重して接することを心がけましょう。
高齢者に寄り添った介護をするために
仕事をしている以上、何かしらのストレスは溜まります。介護職はやりがいのある魅力的な仕事ですが、ストレスを溜めたままでは要介護者の気持ちに寄り添った介護はできません。イライラした気持ちで介護をされても要介護者は不快に思うだけですし、精神的に不安定な状態ではコミュニケーションもスムーズに取れません。そのままだと重大な事故につながってしまいます。質の高い介護を行うためには職員のストレスケアも重要なのです。
ヘルパーズ・ハイとは?
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他の仕事にはない幸せがある
する側とされる側の幸せのリンク
介護職員の多くはヘルパーズ・ハイの状態で働いているため、ネガティブなイメージが強い仕事も前向きに取り組むことができています。ヘルパーズ・ハイは幸せを感じるオキシトシンとやる気を引き出すドーパミンが脳内で分泌され、多幸感を感じる状態のことです。
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