テクノロジーの導入による変化
介護現場の未来を大きく変える可能性があるテクノロジー
介護ロボットの活用
介護の仕事は要介護者を抱えあげたり移動を解除したり、身体的負担が大きい仕事です。こうしたきつさが、「介護職はしんどい」というイメージの大きな要因になっています。一方で高齢者の数は増え続けており、介護業界は深刻な人手不足に陥っています。
しかし、その問題の解決に大きく貢献するといわれているのが、介護ロボットです。介護ロボットとは、要介護者を補助し、介護する側の負担の軽減を目的に開発されたロボット機器です。近年、移乗介助ロボットや移動支援ロボット、排泄支援ロボット、入浴支援ロボットなど、さまざまな種類の介護ロボットが登場しています。これらのロボットには、介護職の身体的負担を軽減するだけでなく、腰痛などの職業病のリスクを減らす効果も期待されています。
また、見守りセンサーやAIによる行動分析など、IoT技術を活用したシステムの普及も進んでいます。要介護者の転倒のリスクを事前に察知したり、認知症の方の徘徊を防止したりと、安全性の向上に貢献しています。これらの技術によって、介護職はより質の高いケアに集中でき、要介護者は安全・安心な生活を送れるようになるでしょう。
AI技術やデータの活用がもたらす未来
限られた人材で質の良い介護を実践するには、作業効率を上げることが大事です。そのため近年では、業務効率化ツールの開発も積極的に進められています。
例えば介護施設の送迎では、乗車・降車のルートや時間などを考慮して計画を立てる必要があります。そこで大いに役立つのが、業務車両管理システムです。同システムでは利用者一人ひとりの状況に合わせ、AIが適切な送迎ルートと送迎計画を作成してくれます。送迎管理をAIに行ってもらうことで、送迎にかかる作業負担を軽減できます。
近年は人手不足により、コミュニケーションも問題になっています。そのため、コミュニケーションの促進に貢献するシステムも登場しています。中には、介護職と要介護者の会話データをAIが解析し、一人ひとりに合わせた対応を行えるようなものもあります。まるで人間を相手にしているような自然な会話が可能な上、身振り手振りを交えたコミュニケーションも可能です。要介助者の状況やニーズの把握がしやすくなり、高齢者のQOL向上にも期待が持てると、大いに注目を集めています。
こうしたテクノロジーを活用することで、質の高い個別ケアを効率的に実践できるようになるでしょう。
テクノロジーとの付き合い方
介護の現場において、ロボットやAIはあくまで「人の手助け」をするものであり、「人の代わり」ではありません。介護の仕事には、要介護者とのコミュニケーションや信頼関係の構築など、人間にしかできない大切な役割が数多く存在します。テクノロジーの登場によって仕事を奪われるかもしれないと危惧している人もいますが、むしろAIやロボットは、より業務を充実させるためのツールとして捉えるべきでしょう。ロボットやAIにできることは任せ、人は人ならではの、心のこもったケアに集中することが大事です。
ヘルパーズ・ハイとは?
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他の仕事にはない幸せがある
する側とされる側の幸せのリンク
介護職員の多くはヘルパーズ・ハイの状態で働いているため、ネガティブなイメージが強い仕事も前向きに取り組むことができています。ヘルパーズ・ハイは幸せを感じるオキシトシンとやる気を引き出すドーパミンが脳内で分泌され、多幸感を感じる状態のことです。
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